研究内容の概要

これまで急速な発展を遂げてきたエレクトロニクス分野において、中心的な役割を担ってきたのは電子(エレクトロン)が示す様々な機能です。この電子が持つもう一つの重要な側面が、スピンと呼ばれる磁気量子としての性質です。スピンの実態自体が、現代においても未だに良く理解されていないエキゾチックな存在ですが、その応用には無限の可能性が秘められています。私達の研究室では、原子レベルの“ものづくり”と計算機による“数値解析”を駆使して、電子スピンの持つ様々な性質を解き明かすとともに、その特長を活用した新しい情報エレクトロニクス分野の開拓に挑戦しています。
強磁性体へのナノ構造形成により、スピン方位の量子化や、スピン運動の波動性(スピン波)等の新規物性が発現します。これらを利用すると極微電力での多重情報伝送や、脳型論理演算プロセッサ等を実現できる可能性があります。多元超薄膜作製装置、電子ビーム露光、イオンビーム加工等の先端的な微細加工技術を駆使して強磁性体にナノメータオーダの極微構造を形成し、新機能の探求に取り組んでいます。
スピンは情報の記憶にも優れた特長を持っています。既に1ビットの情報を、原子数10個分程度の領域にスピン方位として記憶できるような材料の開発が進められつつあります。然しながら、このような材料系の潜在能力を活かすための記録原理については未だ模索段階です。そこで、電子スピンの極限的な記憶性能を活用するための新しい情報ストレージ技術について研究を行なっています。このような極微領域のスピン観測は極めて困難であるため、物理現象を数値モデル化する計算機シミュレーションを有用な研究開発ツールとして用いています。

強磁性金属/誘電体多層膜のヘテロエピタキシャル成膜と高周波磁気デバイスへの応用

ナノ構造磁性体における磁壁物理とデバイス応用

スピン波を利用した次世代情報デバイスの研究

マイクロ波アシストを利用した超高密度磁気記録